「R25」の調べによると、面接経験豊富な30~40代の上司世代がイラつく「若者言葉」で最も多かったのは「見れた」「食べれた」などの「ら抜き言葉」だったそうだ。「ものすごく幼稚な印象を受ける」「いちいち気になって、話の内容が頭に入ってこない」など、かなり厳しい意見も出ているが、果たしてそんなにいけないことなのか。
社会人2年目の女性Aさんは、あるメーカーの面接で「ら抜き言葉」を注意されたことを、いまだに強く根に持っている。学生時代にトヨタの本を読み、海外旅行で「3現主義」の重要性を感じたという話をしたときのことだ。
「ら入り」は、受身か尊敬か可能か迷う
彼女は仕事への意気込みについて、「もし入社できたら、海外の生産現場に行かせていただきたい。そうしたら現場を回って、見れるものは何でも見てきたいと思います!」と伝えたそうだ。すると面接担当者から、こう冷ややかに返されたという。
「君さ、それを言うなら“見られるものは”だよね。海外の前に日本語勉強したら?」
Aさんは「こちらの意気込みを全く理解する姿勢がなかった」と憤慨し、さらに「細かな言葉遣いがそんなに大事なことなのか」と疑問を呈している。
「もし『見られるものは何でも』と言ったとしますよ。それを聞いた人は『見られる』が受身なのか尊敬なのか、一瞬疑問に思うじゃないですか。『見れるもの』なら、可能だということがすぐ分かると思うんです」
結局Aさんは別のメーカーの海外担当として、希望通り現地を回っている。「ら抜き言葉」が原因で不採用になったかどうか分からないが、件の面接担当者は惜しい人材を逃してしまったのではないだろうか。
ビジネスマナーの観点からは、どう考えるべきなのか。マナーコンサルタントの西出ひろ子氏は、間違った言葉づかいを使い続けている「裸の王様」は「ご本人が一番恥をかくこと」なので、「それをいわれて不快に感じる人がいるのであれば、使用しないよう注意をすべき」と認める。しかし、マナーにおいて重要なのは指摘の仕方だという。
「厳しく指摘をされて意気消沈なさる方もいらっしゃいます。マナーはお互い様ですので、指摘をする側にも、相手の気持ちを配慮した言い方をする必要があるでしょう」