社会保険労務士・野崎大輔の視点
業務上の適正な範囲で行われていれば問題ない
ご相談の内容は、私はパワーハラスメントに該当しないと思います。パワハラは「職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えること」です。A君は注意によって苦痛を感じたようですが、それが業務の適正な範囲内であればパワハラにはなりません。「業務上の指導との線引きが難しい」とはよく言われますが、脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言などがありませんし、業務を外れた嫌がらせのために行われたという意図も感じられません。
気になるのは10分間という時間と、全員の前での叱責という点でしょうか。叱責は不必要に長くしないことが賢明で、感情的に怒ったり人格批判をするのではなく、問題点を指摘し改善する行動を指示することが重要です。叱責に絡めた話をするにも、一般的な話にして他の参加者にも感想を求め、気づきを与えるやり方もあったのではないかと思います。次回からはこのような点に気をつけていただければ大丈夫でしょう。