全力を尽くす経験が飛躍へのターニングポイントに
毎回、悩みもがきながらも一心不乱に新体操シーンと取り組んでいました。するとある日、『タッチ』の新オープニングで、その新体操カットがつかわれていました。
その後、魔法少女モノで変身シーンを担当したときには、新体操リボンの演技にヒントを得て、南ちゃんのダンスの動きを応用しました。
そうこうしているうちに、制作スタッフに「彼女は大変なカットが好きらしいよ」と思われたらしく、あるとき、20秒弱の「長尺のカット」を頼まれたことがありました。
それはテレビアニメ『彼氏彼女の事情』のオープニングのラストカットでしたが、さすがにやってもやっても終わらず、上がったときにはかなり達成感がありました。このときのカメラワークは演出になってから役に立っています。
ベストセラーを連発している知り合いの編集者は、新人のころ「たまたま上司から振られた仕事」を「自分の仕事」にすべく全力を尽くしてきたことが、プロとしての仕事力が飛躍するターニングポイントだったといいます。
このように「残りモノ」や「やらされ仕事」には仕事力を高めるチャンスがあります。もし今度、「だれかから振られた仕事」が来たら、「自分の仕事」を高めるジャンピングボードだと思って、思いっきり踏みこんでみることは大事だと思います。(数井浩子)