これが今どきの入社式? 「親への感謝」「子どもにエール」で涙、涙…

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   昨日の4月1日月曜日、新入社員を迎える多くの会社で「入社式」が開催された。2日朝のワイドショーでは、各局がユニークな入社式をこぞって取り上げている。

   三菱鉛筆では小刀を使って鉛筆を削り、コロンブスでは先輩社員と靴を磨きあう。フジテレビではサプライズゲストに「ももいろクローバーZ」が登場し、新入社員が感激して涙を流していた。

先輩社員や社長も思わずもらい泣き

「お父さんお母さん、ありがとう!」だけでやっていけるのか
「お父さんお母さん、ありがとう!」だけでやっていけるのか

   数多く紹介された式の中でひときわ目を引いたのは、広島のお好み焼きソースで有名なお多福グループの「親子同伴の入社式」。クライマックスは、新入社員が壇上に立って親への感謝の言葉を読みあげる「声の手紙」だ。

「今日から私は社会人となり、お父さんの大変さと偉大さを知ることになると思います」
「お母さんのように笑顔をみんなに与えられるような人になります」

   子どもが涙を流しながら感謝の言葉を読む様子を見て、親も涙する。「お好み焼きで家族の団欒を願う会社」にふさわしいと言えるだろうか。

   「イマドキの若い者は甘やかされて…」と言いたいところだが、お多福グループが家族同伴の入社式を始めたのは約30年前。「声の手紙」も9年前から行われており、むしろ「社員は家族」と考える戦後日本の伝統を引き継いでいるといった方がよさそうだ。

   これとは逆に、親から子どもへの「励ましのエール」が涙を誘う入社式もあった。東京・渋谷のベンチャー企業・NGUでは、新入社員に内緒で会社が親に手紙を頼み、入社式で先輩社員が読み上げるというイベントを行った。

   親からの手紙を突然読まれ、感激して涙する新入社員。それを見た先輩社員や社長も、思わずもらい泣きする様子がテレビに映っていた。会社としても「社員に対する責任」をより一層持つことができるという効果もあったようだ。

「個人の自立」呼びかける声が高まる中で…

   ただ、入社式に親や家族を絡めるイベントを冷ややかに見る人も。都内のIT企業で人事を担当する40代男性は、会社の意図を「あざとすぎる」と批判する。

「会社に帰属意識を持たせ、短期的な離職率を下げるための施策だろう。しかしこれからの時代は、社員に独り立ちできる力をつけさせるのが課題ではないか。社員に『この会社に骨をうずめたい』と期待させることが得策なのか疑問がある」

   東京・巣鴨の商店街で「めざましテレビ」のインタビューに答えた67歳の男性は、子どもを甘やかせ気味の入社式に「親が悪い。これから自分ひとりで歩かないといけないのに、とんでもないですね」と苦言を呈していた。

   業績悪化が続く大企業では、社員に危機感を高めるよう呼びかけるあいさつが目を引く。パナソニックでは、津賀一宏社長がこうハッパをかけたという。

「『この会社に本当に入ってもいいのか』と不安を抱いている方もいるかもしれませんが、一刻も早く普通の会社に戻すことを頑張らなければならない」

   国や企業に頼らず、個人がたくましく自立すべきという意見を目にするようになった時代に「お父さんお母さんありがとう」だけでやっていけるのか――。

   米国で駐在員をしていた元商社マンによると、「米国のメディアで入社式が話題になることはなかった」という。大規模な新卒一括採用もなく、新入社員もスキルアップしたら、よりよい条件を求めて転職するのが当たり前。会社も「入社式」など重視せず、やってないところがほとんどだったそうだ。

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