2012年春に大学を卒業後、就職も進学もしなかった若者が3万3000人にのぼったという。不況で求人数が減っているから仕方がないと思いがちだが、中小企業(従業員300人未満)の有効求人倍率は、2012年3月卒で3.35倍。決して「まったく仕事がない」というわけでもなさそうだ。
過去に経験した不況や震災の影響から「会社選びに失敗したくない」「安定した企業に勤めたい」と考えるのも仕方のないことだ。社会に出て働いたことのない若者が、イメージ先行で会社選びを行ってしまうのも、なかなか避けられるものではない。
とはいえ、中小企業の中にも「自分にあった仕事や職場」が存在しうるのも事実である。そんなマッチングの壁を越えるために、リクルートは求人・転職情報サイト「はたらいく」の中で、「らいくサービス」という試みを実施している。
会社からアプローチされると「想定外の職種でも悪い気がしない」
「らいくサービス」とは、求人情報を見た求職者が、少しでも気になる会社があれば「らいく!」という好意をカジュアルに示せるサービスだ。ポイントは「らいく!」が正式なオファーではないこと。会社から断られることもなく、傷つく心配もない。
「らいく!」をもらった会社は、その若者のプロフィールを参照することができる。そして、自社の求人にあった人材であれば「らいく!」を返したり、メッセージを送ったりしてコミュニケーションを取ることができる。
また求職者は、一般的なキャリアや資格以外に、過去の仕事のエピソードや趣味、休日の過ごし方など人柄がにじみ出せる「らいくレジュメ」を公開しておけば、会社側から「らいく!」を受け取ることもある。
リクルート「はたらいく」編集長の高槻洋介氏は、「会社側からアプローチをされると、若者側は当初想定していなかった職業や職種であったとしても悪い気はせず、就職先として検討し始めるケースもあります」と、その効果を説明する。
職種などにこだわって一歩が踏み出せずにいるように見える若者も、実は別の要素をより重視しているという調査結果もある。リクルートが行った調査によると、長く働くために重要なことは「社風」や「人間関係」と答えた人が、「仕事内容」や「給料」と答えた人よりも多かったということだ。