「もったいない思想」が失敗の処理を先送りしている

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肩の力を抜いて再スタートすればいい

   しかし、この「損切り」は日本企業ではなかなか行われません。その理由は、自らの意思決定の責任を回避する「前例尊重主義」にあるのかもしれません。

   現時点で最も合理的な判断をすることではなく、過去にそのプロジェクトに関わった人や前任者にどう申し訳をするのかという考えが働いてしまうので、失敗は表ざたにされず、決断は先送りされます。

   建設途中で中止になったダムにかけた費用や、観に行かなかった払い戻し不可のチケット、みんなサンクコストです。「損切り」ができない人が株式投資をおこなったら、株価が下がっていくのがわかっても、手放すことができずに原価割れをしたまま持ち続けるのではないでしょうか。

   確かに、損を切ってしまうことは過去の自分の失敗を認めてしまうことにもなり、言うほど簡単にできることではありません。「もったいない思想」がよいものとされてきたことも影響しているのかもしれません。

   私たちに必要なのは、損を切ることで受けるダメージに対して、耐性を準備することではないでしょうか。サンクコストの考え方を確認し、「ここで止めたら楽になれる。また再スタートすればいいだけだ」と気持ちを楽にするためのイメージトレーニングが大切です。

   自分が背負ってしまった負の遺産で苦しまないよう、肩の力を抜くことが求められている人は、思いのほか多いのではないでしょうか。(高城幸司)

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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