推薦入試を始めたくらいで品質が維持できない高等教育は、一度壊した方がいい

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茶番はおのずと変わらざるを得なくなる

   でも、筆者はそれもまた、今の日本に必要不可欠なステップだと考えている。新卒で一度入社したら定年まで雇う終身雇用はもちろん、大学の成績すら見ずインプレッションと大学名だけで40年契約をオファーする企業人事も、大して勉強してない学生にも「可」を与えてぼんぼん追い出す大学教授も、筆者はすべて茶番だと考えている。

   その一連の茶番は、良くも悪くも、偏差値というデジタルな基準が機能することで支えられている面がある。そこにイレギュラーな人材が混じることで、茶番はおのずと変わらざるを得なくなるはずだ。

   私学のAO入試は、賛否両論あるけれども、質的な変化をもたらしつつあるのも事実だ。たとえば近年普及しつつあるインターンシップは、なんとかして採用と学業の質的水準を高めようとする企業、大学双方の努力の賜物だと筆者は考えている。

   企業側は学校名だけに頼らない採用をすればいいし、大学は勉強しない学生を留年させればいいし、学生は入学したらしたで一生懸命勉学に打ち込めばいい。それこそ、日本を草の根から変える第一歩だというのが筆者の意見だ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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