茶番はおのずと変わらざるを得なくなる
でも、筆者はそれもまた、今の日本に必要不可欠なステップだと考えている。新卒で一度入社したら定年まで雇う終身雇用はもちろん、大学の成績すら見ずインプレッションと大学名だけで40年契約をオファーする企業人事も、大して勉強してない学生にも「可」を与えてぼんぼん追い出す大学教授も、筆者はすべて茶番だと考えている。
その一連の茶番は、良くも悪くも、偏差値というデジタルな基準が機能することで支えられている面がある。そこにイレギュラーな人材が混じることで、茶番はおのずと変わらざるを得なくなるはずだ。
私学のAO入試は、賛否両論あるけれども、質的な変化をもたらしつつあるのも事実だ。たとえば近年普及しつつあるインターンシップは、なんとかして採用と学業の質的水準を高めようとする企業、大学双方の努力の賜物だと筆者は考えている。
企業側は学校名だけに頼らない採用をすればいいし、大学は勉強しない学生を留年させればいいし、学生は入学したらしたで一生懸命勉学に打ち込めばいい。それこそ、日本を草の根から変える第一歩だというのが筆者の意見だ。(城繁幸)