社会保険労務士・野崎大輔の視点
売られたケンカでも暴行傷害に問われることもある
今回のケースが警察沙汰になったのかどうかわかりませんが、自分から仕掛けたのではなく、売られたケンカを買った場合であっても、警察は「結果」を重視します。相手にケガを負わせた時点で、暴行傷害罪に問われるおそれがあり、正当防衛は、よほどやむを得ず行った場合でない限り認められません。本来、休日のケンカは私生活上の行為ではありますが、刑法上の罪に問われることになれば、最悪の場合、懲戒解雇せざるを得なくなると思います。
刑事事件にまで発展しない場合でも、譴責処分とすることは可能でしょう。ただし処分は業務命令ではなく、始末書の提出はあくまで任意であり強要できないことに注意が必要です。使用者は労働者の意思、人格などの支配まですることはできません。始末書の提出を強要できるかどうかという点については、個人の良心の意思を尊重するという観点から多くの判例で認められていないのです。始末書不提出を理由に、さらに重い懲戒処分を下すこともできません。