営業担当者がいるすべての会社にリスクがある
Bのように外部業者に発注権限をもつ者は、不正の誘惑にさらされやすい。この事件では、Bが外部業者と直接自由にやり取りできたことが不正を助長したといえる。もしBが「できる営業マン」としての地位を築いていたのであれば、Bの販促費の使い方は「聖域」になっていた可能性もある。
A社は「今回の事態を重視し、管理体制を一層強化し、再発防止の徹底に努めてまいります。」とコメントしているが、まずは「職務の分離」「ダブルチェック」という基本を遅まきながら徹底することから始めなければならない。事務コストは増すが、「販促用グッズの発注と納品確認は、営業部門の申請を元に別の部署が厳正に行う」べきである。
税務当局の経費に対するチェックの視点も活用したい。大企業では膨大な数の経費支払い記録をチェックするのは至難の業だが、最近は大量のデータを効率的にチェックできる監査ソフトウェアなども充実している。
内部通報制度を拡張し、外部からの通報も積極的に受け付けることも一考に値する。この事件では、外部業者の中に不正に気づいていた社員がいたはずである。過去には金券ショップのスタッフが、切手を大量に持ち込む客を不審に思って通報したことで不正発覚した事例もある。
ネット上には「このような不正はきっとどこでも行われているだろう」という手の書き込みが目立つ。営業担当者のいない会社はなく、業種を問わずあらゆる会社が、「うちは大丈夫?」という視点で見直すきっかけとしたい。(甘粕潔)