「病院や地域、団体が一体となって活動できれば」
ピア・サポートには、一定のリスクもある。それは、がん経験者(ピア・サポーター)の発言による患者への影響力がとても大きいということ。軽率なアドバイスや、治療への不安をあおるような医療的助言などをすれば、患者や病院の混乱を招いてしまう。
厚生労働省はこの課題解決のため、2011年より「がん総合相談に携わる者に対する研修プログラム策定事業」を日本対がん協会に委託。国として、ピア・サポーター養成プログラムの作成に取り組んでいる。また、キャンサーネットジャパンなどの非営利の支援団体でも、独自に「がん体験者コーディネーター」の養成講座などを開いている。
「ピア・サポートは、医療的な見解を述べるものではなく、あくまでがん患者のメンタル面を支えたり、生活上のアドバイスをしたりするものです。その上で、ピア・サポートという支援を、患者さんはもちろん、医療者の方々にも周知して頂いて、病院や地域、団体が一体となって活動を広げていければと考えています」(キャンサーネットジャパン理事・川上祥子さん)
がんのような重大な病気にかかった時、様々な不安とともに襲ってくるのが途方もない孤独感ではないだろうか。その孤独感を癒す手段として、ピア・サポートという支援が持つ可能性は、極めて大きいのかもしれない。
(有井太郎)