入社予定者が交通事故 でも「内定取消し」したくない…

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臨床心理士・尾崎健一の視点
とりあえず入社し、障害者雇用枠の利用も考えられる

   入社日直前に内定取消しを行うと、次の就職先が決まるまでに履歴書に空白が生じてしまう可能性があります。転職の際にそのような状況を嫌う企業もあるので、ここは4月1日に予定どおり入社させ、「退院後、後遺症の状況を見極めてから本人の意向も含めて判断する」という覚書を交わしておくことも考えられます。当面は見習い期間中に休職で無給ということでいいのではないでしょうか。とりあえず「内定取消し」という処分にはならないので、学校側からの反発も避けられそうです。

   万一後遺症が大きく、障害者のいずれかの等級に相当する場合には「障害者雇用」という枠組みが適用できるかもしれません。平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が2.0%に引き上げられることもあり、企業の社会的責任を果たすためにも有効といえます。障害者を雇用すると助成金が出たり、個別に最低賃金の減額の特例が認められたりしますので、所轄の労働基準監督署に相談することをお勧めします。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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