臨床心理士・尾崎健一の視点
とりあえず入社し、障害者雇用枠の利用も考えられる
入社日直前に内定取消しを行うと、次の就職先が決まるまでに履歴書に空白が生じてしまう可能性があります。転職の際にそのような状況を嫌う企業もあるので、ここは4月1日に予定どおり入社させ、「退院後、後遺症の状況を見極めてから本人の意向も含めて判断する」という覚書を交わしておくことも考えられます。当面は見習い期間中に休職で無給ということでいいのではないでしょうか。とりあえず「内定取消し」という処分にはならないので、学校側からの反発も避けられそうです。
万一後遺症が大きく、障害者のいずれかの等級に相当する場合には「障害者雇用」という枠組みが適用できるかもしれません。平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が2.0%に引き上げられることもあり、企業の社会的責任を果たすためにも有効といえます。障害者を雇用すると助成金が出たり、個別に最低賃金の減額の特例が認められたりしますので、所轄の労働基準監督署に相談することをお勧めします。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。