社会保険労務士・野崎大輔の視点
内定取消しは原則可能。新たな職場探しに協力しては
雇用契約書の入社日から期待される労務提供ができない場合、会社が内定取消しをしても原則として問題ありません。ただし、入社日から数か月程度で就労できる見込みがあり、そのことを事前に会社に連絡しているような場合には、内定取消しは不当という訴えを起こされるリスクもあるので注意が必要です。
同じ内定取消しでも、業績悪化によるキャンセルと、今回のような事情ではだいぶ理由が違うように思えますが、地域によっては世間体もあるのでしょう。だからといって、いまのような状況で4月1日からA君を入社させても、やる仕事がなければ彼の居場所も確保しにくいと思われます。「自社で受け入れ先がない」のが明確なら、無理をせず内定取消しを行い、新たな職場探しに会社として協力すれば、A君も学校も理解を示してくれるでしょう。後遺症があっても働ける職場が見つかれば、退院次第働くこともできますし、A君も感謝してくれるのではないかと思います。