「売上伸びてるのに銀行がケチつける!」――社長、それはこういう事情です

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支店長の信頼を得られれば杓子定規にならない

   ただ、こんなにも唐突に「金利上昇」「追加担保要求」となるのも乱暴な話です。そこで社長に「普段、銀行に顔を出されてます?」と尋ねると、社長は「俺は銀行嫌いだから」と悪びれる様子もありません。

「銀行には、経理担当が振込とかに行っているだけ。すべて部長まかせで、うちに来ている若い担当者とも、ほとんど話をしたことがないな」

   原因はまさにそこ、社長の「銀行嫌い症候群」です。

   銀行に安心感を与えられるのは、結局のところ社長しかいません。定期的に銀行に顔を出して、支店長や副支店長にこまめに業績報告をすることが大切です。ときどきは彼らに会社や店の様子を見に来てもらうのも有効でしょう。利子を払っているのだから下手に出る必要はありませんが、信頼感のない相手にお金を貸したくないのは誰もが同じです。

   確かに銀行はルール重視になりましたが、かといって杓子定規に対応していたら、本当に成長性のある顧客を逃してしまいます。支店長や副支店長などの管理者には、担当者とは別の視点で顧客の信頼性を捉える権限があります。

   今回のケースでも、「ルールですので申し訳ないですが」と1年間の金利アップは避けられないにしても、追加担保については不要と判断される可能性が高いです。

   J社社長にはまず自ら銀行に行って、支店長に決算の説明をすることをすすめました。しっかりした計画のもとに事業を考えており、今回の赤字の理由は一過性のもので今季は業績順調で黒字の見通しであること、などを直接説明すれば、担当者の対応とは違ったものが引き出せるに違いありません。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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