社会保険労務士・野崎大輔の視点
「不公平感」を弱めるための懲戒処分も可能だが
「出れないんだったら辞めろ」という声があるようですが、A君が辞めても自分たちがよけい忙しくなるだけで、問題は改善しません。それでもこういう声が出るということは「不公平」ということに社員がかなり敏感になっている、あるいは不寛容な社員が多いということになります。基本的に週休2日制であれば、本来は人手を増やすなどして土曜出勤を減らすよう手当てすべきですが、A君の待遇を相対的に下げて「不公平感」を弱めることはありうると思います。
特に就業規則に「土曜出勤もありうる」と明記されていた場合には、それを承知で入社しながら出勤命令に従えないわけですから、懲戒処分を下すことができるでしょう。今回のケースですと譴責が妥当と思われます。ただし、完全週休2日制を掲げている場合は、処分できません。また周囲にとっては単なる私的な用事に思えても、A君の「信教の自由」を侵すことはできないので、出勤を強要するような言動はすべきではありません。