宗教上の都合で休日出勤できない 同僚たちは反発「ズルい」「出れないなら辞めろ」

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
「不公平感」を弱めるための懲戒処分も可能だが

   「出れないんだったら辞めろ」という声があるようですが、A君が辞めても自分たちがよけい忙しくなるだけで、問題は改善しません。それでもこういう声が出るということは「不公平」ということに社員がかなり敏感になっている、あるいは不寛容な社員が多いということになります。基本的に週休2日制であれば、本来は人手を増やすなどして土曜出勤を減らすよう手当てすべきですが、A君の待遇を相対的に下げて「不公平感」を弱めることはありうると思います。

   特に就業規則に「土曜出勤もありうる」と明記されていた場合には、それを承知で入社しながら出勤命令に従えないわけですから、懲戒処分を下すことができるでしょう。今回のケースですと譴責が妥当と思われます。ただし、完全週休2日制を掲げている場合は、処分できません。また周囲にとっては単なる私的な用事に思えても、A君の「信教の自由」を侵すことはできないので、出勤を強要するような言動はすべきではありません。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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