ワーカー同士が調整・協力する「コラボワーク」
そうした制約条件を取り払う取り組みのひとつが、リクルートジョブズが「2013年のトレンド予測」の中で提唱した「コラボワーク」だ。コラボワークは、自分自身で業務量や業務内容の選択を行い、同じワーカー同士が調整・協力しながら業務を完成させるという就労スタイルだ。
例えば、ポラリスが運営する「セタガヤ庶務部」では、チラシ作成を請け負った際、ラベル貼りやデータ入力などのように工程を小さな単位に分け、フェイスブック上で希望者を募る。するとワーカー同士が、同じくフェイスブック上で自分のやりたい業務量や業務内容をエントリーし、定員に達したらチームが完成する仕組みになっている。体調不良など、ワーカーが突発的に業務をできない状態になっても、ワーカー同士で調整し合う。
似たような取り組みとして「ワークシェアリング」がある。コラボワークが「ワーカー同士の調整・協力」が肝要になるのに対し、ワークシェアリングではマネージャーの役割が必要になる。ひとつの仕事を分割し、ワーカーに振り分ける役割だ。さらに、仕事を振り分けられたワーカー同士は独立して作業をすることが多く、調整・協力をすることも少ない場合が多い。
もちろんコラボワークでも、マネジメント業務が完全に不要になるわけではない。仕事を分業しやすい単位で分割することや、ワーカー同士が相互に助け合いやすい雰囲気を、ウェブ上やリアルな場を通じて促進することが必要だ。前出の「セタガヤ庶務部」では、コワーキングスペースを設置したり、研修を実施するなどし、リアルでも相互協力しやすい環境をつくっている。さらに、責任感の強いワーカーを一定数確保しておくことも、コラボワークを成功させる秘訣だろう。
女性やシニア層のみならず、就職難や障害者支援といった領域にも、応用が望まれるかもしれない。