日本のサラリーマンが「世界で一番もろくて壊れやすい」理由

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手に職をつけている料理人や大工はアンチ・フラジャイル

   逆に、腕一本で仕事をしている料理人や大工などはアンチ・フラジャイルだという。こういう人たちの仕事は景気の変動によって影響を受けるので収入には波があるが、その代わりサラリーマンのようにある日突然リストラに合うこともない。

   似たようなことは他の多くの分野に言える。たとえばお金を銀行預金や国債にして預けておくのは一見安全だが、ある日突然大きく減ってしまう恐れがある。一方、企業の株式は価格変動があるものの、その分リスクが目に見えるだけ安心できるともいえる。

   タレブは「歴史とは予想を超えた大変革の集積である」と言う。今の時代は過去のどの時代よりも変動が激しい時代である。この時代に「目先を穏便に過ごす」ことを重視する日本の伝統にどっぷりつかっていたら、いずれ痛い目に合うことになるだろう。

   アンチ・フラジャイル(壊れやすくない人間)を目指して、貪欲にリスクを取りにいきたいものだ。(小田切尚登)

小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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