臨床心理士・尾崎健一の視点
「仕事」と「勤務地」どちらを優先するのか決断が必要
長期休職からの復職は、休職前の仕事に復帰することが原則で、これを「原職復帰」といいます。復職後はただでさえ疲れやすいので、いきなり新しい仕事を覚えさせられたり新しい人間関係を築いたりするのは負担が大きいからです。ただし、どうしても「原職」に戻れない場合、「元の仕事」に近づけるか、あるいは「元の仕事場」に近づけるかの2者択一とならざるを得ません。
今回の場合は仕事が変わることよりも、転居に伴う変化の方が大きくなる可能性があります。本人とも相談のうえ、まずは営業に所属して比較的軽い業務に従事しながら快復と社会復帰を優先し、自信がついてから仕事や勤務地を含む最終的な復職先を考えてみてはいかがでしょうか。余裕のある会社は多くないと思いますが、新規採用より社内の事情をよく知る人が携わる方が効率的に行える仕事もあるものです。Aさんにとっても、将来技術職に復帰したときに、営業での経験がプラスになることもあるでしょう。