中途入社に社長が憤慨 「給料が安いだとお? ふざけるなあ!」

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給料が上がる「希望」が頑張りを呼ぶ

   Cくんのヒアリング結果を社長に伝えたところ、「入社間もないヤツに何が分かる。嫌ならとっとと辞めればいい」と取り付くシマがありません。社長の多くは心配性の「給与増額したくない症候群」。支払いだけ増えることを喜んで受け入れる経営者なんかいません。

   そこで私は、社長が以前「余計な税金を払うぐらいなら社員に還元した方がいい」と言っていたことを思い出しました。社員が頑張った証であれば、給与や賞与を上げて結果的に節税になるのはよいことだと。利益率が多少下がっても、そういう理由なら銀行も納得するはず。そこで、こんな質問をしてみました。

「C君は前職から給与が2割下がったことを内心不安に思っているようです。もし給与を2割アップさせるには、売上はどの程度上げればいいでしょうね」

   社長は即座に「そりゃ、年間10億円乗せは最低条件だな」と答えてくれました。そこで私は、社長と幹部社員を交えた「A社のめざす姿」づくりの場を設けてもらいました。

   議論の結果、むこう3年で年間10億円を超える「関東トップ5入り」は実現可能と判断。施策として実績重視の給与制度を導入し、目標達成の暁には「給与総支給額の最低2割アップ」を社長に約束してもらいました。

   これを聞いたC君は俄然やる気になって、営業の中心的存在として頑張っています。「10億の次は15億。それが達成できれば一人当たりの利益ベースで上場企業以上になるから、給与もそれくらいいきますよね、きっと」。会社の問題を解くカギは、やはり社長のグチに含まれていたのです。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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