アニメスタジオの机の上にフィギュアが並んでいるのはなぜ?

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あっという間に子ども時代に戻してくれる装置

   そういうわけで、フィギュアはリアル情報源として大事なのですが、私はデザイナーやアニメーターにとってもっと大事で深い理由があるとみています。それは「童心返還装置」としてのフィギュアの効果です。

   人間が知覚するもので最も脳にダイレクトに効くものは「におい」の情報だそうですが、指先から得る「手触り」の情報も負けてはいません。

   タオルや毛布の「手触り」がいいと安心できるのは、子どものころの安らいだ記憶が想起されるからでもありますが、同じようにフィギュアのポリ塩化ビニルの感触は、子どものときに遊んだ怪獣やリカちゃん人形を思いださせます。

   子どもはごっこ遊びが大好きです。ウルトラマンや仮面ライダーで怪獣ごっこをしたり、リカちゃん人形でホームドラマごっこをします。みなさんも子どものころ、ぬいぐるみやビニール人形でオリジナルストーリーをつくって遊びませんでしたか?

   子どものころにフィギュアで遊んでワクワクした記憶、友だちとワイワイと騒ぎながら一緒に物語をつくって楽しかった記憶。フィギュアはデザイナーやアニメーターにとって、仕事に必須の「子ども心」をよみがえらせる大切な童心返還装置なのです。(数井浩子)

数井浩子(かずい・ひろこ)
アニメーター、演出家。『忍たま乱太郎』『ポケットモンスター』『らんま1/2』『ケロロ軍曹』をはじめ200作品以上のアニメの作画・演出・脚本などに携わる。『ふしぎ星の☆ふたご姫』ではキャラクターデザインを担当した。仕事のかたわら、東京大学大学院教育学研究科博士後期課程に在籍。専門は認知心理学
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