相手の通信キャリアを問わず通話が無料で、メッセージやかわいらしいキャラクターのスタンプを送ることもできるLINE。友だち同士のプライベートなやり取りをするのに最適だが、これを仕事のコミュニケーションに使っている人たちがいるのだそうだ。
2月22日付の朝日新聞によると、タイ警察では組織内の情報のやりとりにLINEを使い、犯罪捜査や交通取締りにいかしているという。これまで使っていた無線やファクシミリよりもメッセージが明確に伝わり、情報共有も効率的にできると絶賛されている。
報告形式にこだわらない上司なら「使えるツール」
国内でも、LINEを仕事上の情報共有に利用している人たちがいる。IT企業勤務の20代女性は「営業チームでグループをつくり、売上進捗をリアルタイムで報告しあっている」という。広告会社の男性も、部署内でLINEの専用グループを作っている。
「数字だけでなく、定性的な情報もLINEで流している。上司に報告するだけでなく同僚たちとも同時に共有できるので、営業にはもってこいのツールですよ」
運用上の最大のポイントは、上司のタイプだという。報告の形式に厳しい上司のころは「LINEなんて絶対に許されなかった」が、いまの上司はどんどん使えと言っている。リアクションが即座に返ってくる上司だと、部下も情報をあげたくなると指摘する。
メーカーのマーケティング職の男性も「施策のアイデアや、ヒントになりそうな記事の共有に活用中」という。社内にはセキュリティ上の懸念から、使うべきではないという意見もあるが、推進派の立場からこう反論している。
「情報漏えいのリスクを言えば、普通のEメールだって同じこと。LINEだからって特別なことはない。それよりも、今や国内数千万人が使っているプラットフォームを日常的に使わずに、一般消費者の感覚とズレが生じる方が、この仕事をしている人間としてよほど危険だと思う」
とはいえ、LINEの業務利用は、セキュリティ担当部署からのマークが徐々に厳しくなっているようだ。社内PCからLINEを使っていたウェブメディアの男性は、最近になって事前通告なく使用が制限されてしまい困っているという。
大手IT企業でも、LINEの業務利用を禁止し、自社で作成した専用メッセンジャーを使うことになった。「社内情報を社外のデータベースに渡すのは危険」というのが理由だ。