社会保険労務士・野崎大輔の視点
許容範囲をあらかじめ明確にしておかなかった部長も悪い
部長の話だけでは、A君が本当に私的な飲食をしたかどうか分かりません。取引先の要望に応じたわけですし、キャバクラ接待する会社と比べれば、素人女性との合コンは安あがりではないですか。あらかじめ「どの用途まで接待として認めるか」という許容範囲を事前に明確化するか、事前承認制としていなかったわけですから、A君よりも部長にミスがあったということもできるでしょう。いずれにしても今回のケース程度では懲戒処分にはできないと思います。
なお、もしも私的な飲食にもかかわらず、目的を偽って会社に申請して費用を処理したならば、横領や詐欺に該当するおそれがあります。金額が大きな場合や悪質な場合には懲戒解雇とすることもできます。ただし取引先も参加している今回のケース程度では、そこまでの処分は下せないでしょう。どうしても仕事と認めにくい部分があれば、そこだけ返金させて、譴責処分で始末書提出というあたりが適切ではないかと思います。