取引先との接待をうまく取りしきるのは、簡単なことではない。相手の好みを押さえておく必要があるし、参加者や店との連絡も怠れない。失敗したときのガッカリ感も大きい。仕事の中でもかなり難易度の高いものではないだろうか。
ある会社では、若手営業マンが取引先に合コンの設定を頼まれ、首尾よく実行したところ、上司から「合コンを接待費で処理するなんてふざけている」と叱責されたようだ。上司は「経費の私的流用は横領で懲戒処分」と息巻いている。
部下は反発「プライベートの要素は全くありません」
――商社の人事です。営業部長から、部下のA君について相談がありました。ある取引先との雑談をきっかけに、A君が接待交際費で合コンをしていることが分かったそうです。
A君が使ったのは、いちおうその取引先に使用可能とされる予算内ではありますが、部長に書類を出すときには、単に「○○社××様との打ち合わせ、懇親」としか書かれていませんでした。ここが部長の癇に障ったようです。
そこで部長がAさんを呼んで話を聞いたところ、逆にこう開き直られたのだそうです。
「確かに知人女性に頼んで、合コンを設定しました。でも、それは××さんに強く頼まれたからです。普通の接待と何が変わるのでしょうか。プライベートの要素は全くありませんし、これも営業活動の一環じゃないですか」
この反論に部長は激怒し、A君を叱責したようです。「営業活動の一環と言うが、それでどれだけ成績が上がってるんだ? 目に見える結果につながっていないのに、そんな遊びで会社のカネを使わせられるか!」
部長の怒りは収まりません。人事に来て「経費の不正流用は、会社の財産に損害を与えた罪で当然懲戒処分だ。カネを返させて解雇してくれ」と言いに来たというわけです。
確かに、会社全体として経費抑制を進めている一方で、湯水のような使い方をされればたまったものではありません。他の部署からも不満が出ているようですし、A君はきちんと処分しようと思いますが、どの程度まで可能なものでしょうか――