ここ数年、日頃の運動不足解消や体力維持のために、ジムで汗を流す社会人が増えている。しかし、最近ではジムで“脳”のトレーニングを行うプログラムが登場し、話題を集めている。
スポーツクラブ ルネサンスが開発した「シナプソロジー」は、体を鍛えるだけでなく、脳の活性化に主眼を置いたプログラム。高齢者の認知症予防や子どもの知育・発育への活用とあわせて、現役社会人の脳トレや、生産性向上を求める企業の研修プログラムとして応用も期待されている。
簡単な動作を「考えながら」行い、脳を働かせる
五感から様々な刺激を与え続け、言語・計算・記憶など脳の認知機能に刺激を与え、それを動きに結び付けることで、脳を動かし活性化させていくのがシナプソロジーの目的。プログラムは、昭和大学脳神経外科の藤本司名誉教授のアドバイスを元に、ルネサンスが独自に開発した。
具体的なプログラムの例を挙げる。「4動作」では、「1.左手を上に」 「2.右手を横に」といった4パターンの動作を番号とともに覚え、番号を指示されたら、その動作をすぐに実施する。それができるようになったら、指示を番号から色や言葉に変え、それぞれ決められた動作を行っていく。
「名前ゲーム」では、複数人で色の異なる2つのボール(ここでは「黄」「青」とする)を投げ合うのだが、黄色のボールを投げる時は自分の名前を、青色のボールを投げる時は相手の名前を言わなければならない。このように、視覚や聴覚を使って、色や言葉など、様々な要素を元に考え動くのがシナプソロジーの基本だ。
ここで気になるのがその効果。筑波大学大学院の田中喜代次教授が代表を務めるTHFが行った効果検証によると、23~55歳の男女社会人にプログラムを実施した結果、注意機能や判断能力、反応時間の向上が立証された。認知症の予防はもとより、現役社会人の業務能力を上げるトレーニングとしても、成果の期待が高まる。