ダラダラ時間を避ける「上手な集中力の高め方」
しかし実際には、アニメの仕事はそう簡単なものではありません。だいたい「いいモノ」がいつ降ってくるのか分からないからダラダラ過ごしてしまうわけで、このへんがクリエイティブの悩ましいところでもあり、面白さでもあります。
とはいえ、連日徹夜スタイルで長年にわたって生産的に仕事をしているスタッフはみたことがないので、経験を積むなかで「上手な集中力の高め方」を編み出しているようです。
時間のつかい方は人それぞれですが、毎日同じサイクルで仕事を続けるうちに、なんとなく「アニメの神様」が来るタイミングや確率がわかってきます。アニメスタジオが不夜城なのは、深夜族の神様が多いからかも…。
私の場合は、早朝の時間帯がいいようです。午前4時起きのヨジラーですね。『東京ゴッドファーザーズ』で100カット近く原画を担当したときには、総武線始発でスタジオに行き、午前5時にスタジオ着。原画部屋の掃除をしてコーヒーを淹れてから仕事をしていました。
集中力を高める時間帯と場所を自分なりにどう整えるかは、クリエイティブな仕事を長く続けるうえではとても重要な課題。今夜も多くのスタッフが不夜城で「アニメの神様」を待っているのです。(数井浩子)