「労組と一定の距離を持つ」勇気が必要だ
というわけで、これだけは創生案に盛り込むべきというポイントを提言したい。
1.労組との決別
なにも労働組合を叩き潰せというのではない。この連載で毎度も述べてきたように、大企業労組べったりの姿勢では、成長戦略から少子化対策まで、何一つ抜本的な対策が打てないということだ。かつて前原さんが述べたように「労組と一定の距離を持つ」勇気が必要だろう。逆に言うと、労組べったりでもボロ負けすると分かった以上、しがみつく意味はない。
2.財政再建、社会保障制度改革たまに「野田さんが増税路線を推し進めたのが衆院選の敗因だ」と言う人がいるが、むしろ筆者は野田総理をポスト小泉の宰相の中でもっとも高く評価している。また「痛みを伴う改革は景気が良くなってから」という美辞麗句の下、勝手に天引きだけ増やされてきた正社員労組も、この路線には賛成してくれるはずだ。
3.構造改革路線の推進多くの人は、経済が上向かず、どんどん若い人が減り、国の借金だけが増え続けることに、漠然とした不安を抱いている。この状態はもう長くは続かないんじゃないか、自分たちの老後はどうなってしまうのか、といった不安だ。
それに対し、バラマキや規制強化といった対策が対症療法にすぎず、長期的にはむしろ状態を悪化させるということも、多くの人は理解できている。だからこそ常に有権者は、規制緩和をベースとする構造改革を掲げる政党を支持し続けてきたのだ。その姿勢はこれからいよいよ強まるだろう。
筆者は典型的無党派層なので、その都度、改革色の鮮明な政党を支持するだけだ。よって民主党が連合やオールド左翼と心中したいというなら喜んで尻を蹴っ飛ばしてやりたい。
ただ、みんなも維新もまだ小所帯だし、自民は自民であんまりわかってなさそうだしという点を考慮すると、ここで民主党にはもうひと踏ん張りしてほしいというのが正直な気持ちである。(城繁幸)