「花金」「アフターファイブ」「5時ダッシュ」――バブル最盛期の働くOLたちを象徴する言葉は、もはや懐かしいものになりつつある。習い事をすることがステータスだった「おケイコ女子」が習い事市場を盛り上げた時代があった。
この「おケイコ女子」は1988年~92年に20代前半から30代前半を過ごした世代。彼女たちが今、子育ての時期を終え、おケイコ市場、ひいてはおケイコで身につけた技能を手に、労働市場へ戻ってくる気配があるそうだ。リクルートが発表した「 2013年のトレンド予測」 によると、彼女たちを「元祖★おケイコ女子リターンズ」というらしい。
「元祖★おケイコ女子」が市場に帰ってくる
バブル時代の女子は「お嫁さん」になるだけじゃない人生に目を向け、「自分磨き」をすることがテーマであった。当時人気があったのは、「英会話」「フラワーアレンジメント」「料理」。一方で現代に目を向けると、人生経験を積んだ「元祖★おケイコ女子リターンズ」は一皮剥けている。バブル時代のおケイコはもちろんのこと、ダンス、ネイル、着付、フラワー、アロマ、はたまたWebデザインなど、多様なチャレンジをしている。
一定の経済効果も生み出しているようで、習い事を運営する各種スクール等からも「問い合わせ増加」の声が聞こえている。ある着付け教室は「ここ1年で問い合わせの半分が40代以上になった」という。「以前習っていた人が復帰してくることが増えた」と、喜びの声をあげるフラワー教室などもある。
おケイコ市場から「おシゴト市場」に進出
彼女たちは、1986年に男女雇用機会均等法が施行された均等法第一世代。そのため、労働意欲も非常に高いことが特徴といえる。
2012年12月に実施された『 ケイコとマナブ 』調査のアンケート(20~34歳、43~55歳、56~65歳、計900名)によれば、「今のスキルを深めるために、また新たなスキルを身につけるためスクールや通信講座を学んでもよいと思うか?」という質問に、20~34歳の62%が「学びたい」と答え、43~55歳も58%が「学びたい」と回答した。それに対し、56~65歳では36%まで落ちる。おケイコ女子世代は、学びに対する意識が20~34歳並に高いことが見て取れる。
また「いつまで働きたいと思うか?」という問いに関しては「期限付きで働きたい」が33%、「生涯働きたい」が34%と合計67%が就労意欲を失っていない。43歳で「生涯働きたい」と回答した女性は「60歳でリタイアする必要性があまり感じられないので」と答える。
美容鍼灸師として開業をめざすIさん(45歳)は、外資系貿易会社・広告代理店に勤務し、PCインストラクターを経て専業主婦になった。子育てを終えた今、鍼灸を学ぶスクールに通っている。「民間資格でない、国家資格をめざしたかった」。現在サロンでパート勤務中というIさんだが、資格取得後は「美容鍼灸師として開業したい」と、意欲を見せている。
バブルを知る彼女たちが子育てでひと段落ついた今、今年の市場にどれほどのインパクトを与えるのか期待したい。