品質を支える「日々遊戯」という組織文化
精神論だけで仕事を語るのもどうかとは思うのですが、「アニメつくりは気合い!」と「終わらない仕事はない」は、私のなかではアニメつくり名言集のなかでも不動のトップ2。ピンチになるたび、今でも思い出す言葉なのです。
そんな「アニメつくりの気合い」は、何に支えられているのでしょうか。
車とアニメはともに海外で高く評価されている製品ですが、「モノつくり」として共通していることに、プロセスにおける品質管理の徹底があげられます。
その品質管理を支えているもののひとつは、「組織文化」。トヨタに「日々改善」「日々実践」があるように、アニメ現場にも「日々遊戯」という哲学があります。
歴史家ホイジンガは、人間の本質を「遊び」と捉え、「ホモ・ルーデンス」という言葉を編み出しました。遊びといっても、幼児のお遊戯からオリンピック・ゲーム、開発、研究まで広く含み、人間の活動の本質には遊びの要素があるという視点です。
「アニメづくりは遊んでいるようなものですよ」
アニメの現場では、こう自虐的に言うこともあります。しかし、この「遊び」は、いたずらに時間を潰すようなものではなく、気合いの入った真剣な遊びなのです。「もっと面白いアニメを!」という、子どものようなハンパない「遊び心」。これこそがアニメのクオリティーを支えているのかもしれません。(数井浩子)