アニメのクオリティは「だれかが踏ん張ること」で保たれる

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品質を支える「日々遊戯」という組織文化

   精神論だけで仕事を語るのもどうかとは思うのですが、「アニメつくりは気合い!」と「終わらない仕事はない」は、私のなかではアニメつくり名言集のなかでも不動のトップ2。ピンチになるたび、今でも思い出す言葉なのです。

   そんな「アニメつくりの気合い」は、何に支えられているのでしょうか。

   車とアニメはともに海外で高く評価されている製品ですが、「モノつくり」として共通していることに、プロセスにおける品質管理の徹底があげられます。

   その品質管理を支えているもののひとつは、「組織文化」。トヨタに「日々改善」「日々実践」があるように、アニメ現場にも「日々遊戯」という哲学があります。

   歴史家ホイジンガは、人間の本質を「遊び」と捉え、「ホモ・ルーデンス」という言葉を編み出しました。遊びといっても、幼児のお遊戯からオリンピック・ゲーム、開発、研究まで広く含み、人間の活動の本質には遊びの要素があるという視点です。

「アニメづくりは遊んでいるようなものですよ」

   アニメの現場では、こう自虐的に言うこともあります。しかし、この「遊び」は、いたずらに時間を潰すようなものではなく、気合いの入った真剣な遊びなのです。「もっと面白いアニメを!」という、子どものようなハンパない「遊び心」。これこそがアニメのクオリティーを支えているのかもしれません。(数井浩子)

数井浩子(かずい・ひろこ)
アニメーター、演出家。『忍たま乱太郎』『ポケットモンスター』『らんま1/2』『ケロロ軍曹』をはじめ200作品以上のアニメの作画・演出・脚本などに携わる。『ふしぎ星の☆ふたご姫』ではキャラクターデザインを担当した。仕事のかたわら、東京大学大学院教育学研究科博士後期課程に在籍。専門は認知心理学
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