「いいね!」感覚で社会貢献、応援が「見える」寄付サービスとは

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    今までの日本では、あまりなじみのなかったのが、個人の善意による寄付行為。その意識に大きな変化が訪れたのは、2011年3月に発生した、東日本大震災後といえるだろう。「何とかして助けてあげたい、支援したい」という意識が強まった結果、日本中の心がひとつになり、寄付の仕組みが広まるきっかけとなった。

    しかし、一部の報道によると、実際に被災者へ義援金などが届けられた割合は、3カ月経過後の時点で約2割。それが8割を超えたのは、実に1年が経過した後のことであった。「一刻も早く、着実に、目に見える形で寄付を届けたい」。そんな想いを反映させた、支援したい人と支援されたい人を直接結ぶ新たな寄付のかたちに、今、注目が集まっている。

山中教授も利用した「クラウドファンディング」

自分の寄付行為が見やすく表示されている、READYFOR?のサイト
自分の寄付行為が見やすく表示されている、READYFOR?のサイト

    2012年、その独創的な研究でノーベル医学・生理学賞を受賞した山中教授は、研究資金集めでも独創的な方法を思いついたようだ。同教授が利用したのは、「ジャスト・ギビング・ジャパン」というサービス。その仕組みは、1.参加者(寄付を提案する人)、2.寄付先の団体、3.閲覧者(寄付を行う人)の3者によって成り立っている。

   まず参加者は、応援したい団体があった場合、マラソン大会完走などの大きな目標に対してチャレンジ宣言を行う。次に閲覧者は、参加者の意気込みと寄付先の団体を確認した上で、資金提供の意思を表明する。山中教授の場合、その総額は当初の目標をはるかに超え、1000万円以上の寄付が集まる結果となった。

   このように、ネットなどを通じて多数の支援者から直接寄付を集める方法を、「クラウドファンディング」という。群衆(crowd)と資金調達(funding)をつなげた造語だが、同じような仕組みを「ファンドレイジング」などと呼ぶこともあり、これらの使い分けは現在、明確には行われていないようだ。

    一方、資金を必要とするNPO(非営利団体)や諸団体が、推進したいプロジェクトを表明し、直接応援を呼びかけることのできるサービスもある。日本初のクラウドファンディングだという「READYFOR?」のサイトでは、必要な金額に対する達成率などが棒グラフを使ってビジュアル化され、応援する気持ちが目に見える工夫を行っている。

    また、必要に応じて支援者への「リターン」を提供できるのも、同サイトならではのサービス。その中身は、オリジナルグッズから報告レポートにいたるまで、実にさまざま。さらに、資金調達が目標額に届かない場合は、寄付金の全額が出資者へ返還される。したがって、いかに共感を呼べるかというアピールや努力が、プロジェクトの実行者側にも求められている。

    個人のチャレンジに共感する寄付、応援したい団体を吟味しながら行う寄付。それぞれに共通するのは、自分が応援した結果が、目に「見える」ということ。フィードバックも兼ねた「気持ちの可視化」は、不透明な時代のトレンドといえるだろう。自分に合った社会貢献活動が、複数の選択肢の中から選べるというのも、大切なポイント。あなたが「いいね!」と思うのは、どのクラウドファンディング?

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