臨床心理士・尾崎健一の視点
役員報酬のカットなどの姿勢を見せた方がよい
社員にモチベーションを保って働いてもらうためには、給与のような生活に直結した制度の見直しは急激な変化とならないよう、移行期間を設けて段階的に減額する配慮が必要です。また、会社として社員に痛みを強いる変更であれば、まずは経営者から条件変更を始めないと納得性が薄いものです。「会社存続のために、労使が痛みを共有して乗り越えよう。役員報酬を1年間20%カットするので、社員は新しい制度の見直しを受け入れて欲しい」といった姿勢を見せることで、受け入れてもらいやすくなると思います。
歩合制を導入する際には、「基本給は下がるが、高い業績を上げた人には今までより高い報酬になる」といったメリットのある制度設計をし、分かりやすく説明して実行に移すことが大切です。約束を守れなければ、一時的に経営危機は回避できても、優秀な社員の定着やモチベーション維持を図ることはできなくなります。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。