「歩合給の導入」に一部の社員が大反対 押し切っても大丈夫?

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臨床心理士・尾崎健一の視点
役員報酬のカットなどの姿勢を見せた方がよい

   社員にモチベーションを保って働いてもらうためには、給与のような生活に直結した制度の見直しは急激な変化とならないよう、移行期間を設けて段階的に減額する配慮が必要です。また、会社として社員に痛みを強いる変更であれば、まずは経営者から条件変更を始めないと納得性が薄いものです。「会社存続のために、労使が痛みを共有して乗り越えよう。役員報酬を1年間20%カットするので、社員は新しい制度の見直しを受け入れて欲しい」といった姿勢を見せることで、受け入れてもらいやすくなると思います。

   歩合制を導入する際には、「基本給は下がるが、高い業績を上げた人には今までより高い報酬になる」といったメリットのある制度設計をし、分かりやすく説明して実行に移すことが大切です。約束を守れなければ、一時的に経営危機は回避できても、優秀な社員の定着やモチベーション維持を図ることはできなくなります。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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