社会保険労務士・野崎大輔の視点
労働組合のない会社では同意書なしに改定できる
給与体系の変更には、賃金規程の改定が必要です。これを行うためには、労働組合のある会社では「労働協約」の見直しが必要になります。労働組合のない会社では、労働協約を締結する必要はありませんが、社員に説明して個別の同意書をもらえるように努める必要があります。全員に同意をもらうのが理想ですが、今回のように同意しない社員もいると思います。このような場合でも新しい規程は、同意書を提出しない社員にも適用することができます。
ただし、経営上の必要性や、社員が受ける不利益の程度、社員にきちんと説明したかといった点が不十分であれば、不利益変更について民事訴訟を起こされ、規程改定が無効となるリスクが生じます。同意書を出さなかったという理由だけで解雇することも、不当解雇で訴えられるおそれがあります。経営者は、会社に労働組合がないからといって強引に規程を変えることはせず、経営上の必要性などについてきちんと社員に説明するステップを踏むことが大事です。