「歩合給の導入」に一部の社員が大反対 押し切っても大丈夫?

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   ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井会長は、テレビ番組のインタビューに「サラリーマンの社会は終わった」「理想の店長は自営業者」と語っている。要は「一定以上の給料をもらうからには、それなりに自分で稼いでくれ」ということだろう。

   不透明な事業環境の中で、柳井氏の考えに共感する経営者も多いのではないか。ある会社では会社の課題達成に向けて、経営者が「歩合給」の要素を導入しようとしたところ、一部の社員から強い反発を受けて頭を抱えている。

同意書の提出を拒否した社員は解雇したい

――ここ数年業績が悪化している広告代理店の経営者です。業界の構造的な問題があり、来年度はボーナスカットだけでは乗り切れそうにありません。

   そこで、給与体系を根本的に見直し、基本給を下げて、歩合制の要素を入れたいと考えています。新規開拓が営業の課題になっているのにもかかわらず、決まった取引先としかやり取りしない社員がいるからです。

   制度説明をかねて社員と個別面談をしたところ、一部の社員から「基本給が下がるなんてひどい」「いきなりそんなことを言われても困る」と大反対の声があがりました。

「新規営業する余裕はないです。新しい人をつけてください!」
「いまさら仕事のやり方を変えろって、暗に辞めろと言っているんですか?」

   結局、1人は退職を決めましたが、多くの社員は「会社の現状を考えたらそうするしかない」と納得してくれ、同意書も提出してくれました。

   しかし、数人が断固反対として、同意書の提出を拒否しています。この場合、反対者がいても押し切って制度変更はできるのでしょうか。同意書を出さない社員にも新制度を適用してよいのでしょうか。

   また、同意書を出さない社員は、会社の秩序を乱していると言うこともできると思いますが、懲戒処分や解雇をしてもいいものでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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