体罰で伸びる人材、伸びない人材

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体罰の一掃で生まれる「大切な別の何か」

   でも仮にそうだとして、誰が「体罰式はここまで、これから先は自主性を重んじるからな」という線をどこに引くのか。柔道の日本代表クラスでも普通に体罰が行われていた現実を見るに、そうやって育った人間たちに線を引くことはできず、結果的に体罰型の蔓延を許してしまうだけではないのか。

   そして、これは筆者の杞憂かもしれないが、柔道のような伝統ある競技においても、やはりビジネス同様、10点近い自立型人材が求められ始めているのではないか。ロンドン五輪における男子の金メダルゼロという結果に、筆者はどうしても体育会カルチャーの限界を感じてしまう。

   日本から体罰的なものを一掃してしまえば、たぶん中学高校レベルのスポーツは間違いなく弱くなるだろう。なんだかんだ言って、10代のうちは楽しんでやっている人間より、竹刀でぶっ叩かれている人間の方が伸びるからだ。

   ただ、それによって、社会にもっと大切な別の何かが生まれるように予感しているのは、筆者だけだろうか。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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