日本人は途上国にとって「未来人」である
このように、アジアの街はそれぞれのローカライズを加えながらも、よくも悪くもかつて日本が辿った道を辿っているように見えます。さまざまな街に降り立つたびに、時間を行き来しているような感覚に陥ります。その国の文化や宗教からくる個性と同じように、「時間移動」を感じるのが旅の楽しみのひとつになっています。
時間移動の感覚は、観光として楽しむ材料だけではなく、ビジネスにも応用できます。
ソフトバンクの孫正義社長は2000年代、「タイムマシン経営」という言葉を使って、アメリカで流行っているモノを日本で展開する事業を行っていました。彼は当時「アメリカという未来」を知る未来人だったわけです。
2013年、多くの日本人は「日本という未来」を知る未来人として、アジアの途上国に降り立つことになります。我々の知っている「未来」と、2013年の「現状」。そしてその国ごとの「個性」を組み合わせて、この街にどんなモノを持ち込めば人々を幸せにすることができるかを考えるのは非常に楽しいです。
その想像は、ただの妄想で終わらせるだけでなく、現地で働いたり事業を興したりすることによって、現実に影響を与えることもできます。
今の日本に閉塞感を感じている人は、「元気がよかったころの日本」の面影を感じるために、飛行機に乗ってみてはいかがでしょうか? もしかしたらそこは、あなたが「希望」を見つけることができる場所かもしれません。(森山たつを)