急な残業のせいで英会話学校に行けない 「授業料を肩代わりして!」

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
会社は授業料の肩代わりをする必要はない

   会社が社員に残業命令を下せるのは、労働者代表などと労使協定(36協定)を締結し、かつ就業規則に「残業させることがある」旨を明記している場合に限られます。逆にいえば、このような手続きを適切に行っている場合には、社員は原則として残業を拒否することができません。ただし、36協定で定めた延長限度時間を超えて残業させることはできません(特別条項に「大規模なクレームに対応する場合は適用除外」などと定めた場合を除く)。

   サポート部にいる限り、急な残業に対応してもらわざるを得ないので、A君は就業後の定期的なスクール通いは難しいということになるでしょう。残業命令を断った場合には、解雇の対象にもなりえます。これを避けるには、部署を異動してもらうしかありませんが、会社としてそれが難しければ、A君にその旨を説明して辞めてもらわざるを得ないでしょう。会社はA君が英会話スクールに行けなかったことによる損失の責任を負わないので、授業料の肩代わりをする必要はありません。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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