「仕事とはストレスに耐えること」 そう考えると少しラクになる

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   横並びで安全な道を通っていても、リストラ対象になってしまう時代。ならば誰もが嫌がる「火中の栗」を、自分から拾いに行ってみてはどうか。その栗は「宝石」に化けるかもしれない――。こんなコンセプトで、先日『火中の栗の拾い方』(日本経済新聞社)という本を上梓しました。

   本書で書いたのは、栗の「拾い方」に関することが中心です。「リスクが高ければ高いほど得られるものが多い」とは限らないので、拾うべきではない「栗」を見極めることが大事だと説明しています。

「火中の栗」を拾いに行けば、ストレスは強くなる

仕事ほどカラダに悪いものはない!?
仕事ほどカラダに悪いものはない!?

   拾おうとしている栗は、実は「黒コゲ」ではないか、「宝石」に化ける可能性はあるのか…。その見極めに成功したとしても、問題はまだ残されています。

   それは、火中の栗を拾う仕事が「ラクなもの」とは限らないこと。そればかりか、相当なストレスがかかる可能性が高いものです。

   例えば、成果の上がらない組織の立て直しに手をあげたとき。往々にして、与えられた時間があまりにも短く、プレッシャーとの戦いがあるものです。

   「一向にやる気を見せない部下の態度」や「改革反対派による抵抗」にも嫌気がさすでしょう。火中の栗を拾いに行く前には、こういうストレスをあらかじめ想定し、「自分には無理だな」と思えば最初から拾いに行かないのが得策です。

   迷ったときには、起こりうる最悪のシナリオを想定してみてください。

「すべての部下が離反してしまったら」
「債権者から厳しい罵声が飛んで来たら」
「仕事に失敗してあなたの評価が下がってしまったら」

   まさか、というようなことが、この手の仕事には起こり得ます。それでも「そんなストレスでも自分は耐えられる」と思えたら、あなたは火中の栗を拾いに行っても大丈夫。

   仮にそんな状況が現実になったとしても、あらかじめ想定しているだけでもショックが小さくなるものです。そして、ストレスが掛かりだしたら、このおまじないを唱えましょう。

「仕事とは、ストレスに耐えること」

   私が最初に「火中の栗」を拾う経験をしたのは、入社2年目のこと。1つ年上の先輩が突然入社拒否になり、退職する事件が起こりました。

お客のクレーム、上司の注意…。会社員はラクじゃない

   残ったのは、難敵の大手取引先を含む12社。提案書遅れや契約不履行など、さまざまなトラブルが次々と発覚する中で、部員全員が集められ、後任を決める緊急会議が開かれました。

   誰も発言しないまま沈黙の時間が過ぎる中、私は思い切って「では、私にやらせてもらえませんか」と手をあげたのです。それからの仕事は、まさに火中の栗でした。

   「訴えてやる」と息巻くお客さまに誠意をもってお詫びを繰り返し、前任が安請け合いしていたことを「それはできません」とお断りすることもありました。事態が収束するまでには、1年以上の時間を費やしたのです。

   一方で、新たな商談が増えたり、提案力を高める機会を得たりと、得したこともいくつかありました。振り返ってみても、やはり自分がやるしか選択肢はなかったと思います。後悔はありません。

   営業職のストレスの原因には、「お客さまからのクレーム」だけでなく、「上司からの注意」や「同僚からの小言」もあります。それをそのまま受け止めることができればいいのですが、納得できないと気分がモヤモヤしてきます。

   このモヤモヤが溜まると、ストレスになっていきます。積み重なったストレスで心が折れてしまうと、「無理、もうできません」「ギブアップさせてください」と、仕事の意欲が落ちたり出社拒否になったりします。

   こういうときに無理は禁物ですが、ストレスに敏感にならないことも自分の身を守るためには必要です。「仕事にストレスがあるのは当たり前だ」と考えると、気持ちが少しラクになるかもしれません。「仕事とは、ストレスに耐えること」。私は仕事で心が折れそうになると、この言葉を何回もつぶやきます。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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