設計上の問題は現場の職人が穴埋めしている
シナリオの行き先は、絵コンテを描くコンテマン。シナリオからストーリーとコンセプトを汲みとって、アニメの青写真をつくることが仕事です。
もしも問題が解決されないままのバトンを受け取ってしまったコンテマンは、シナリオを前にガマの油状態に陥ります。
「あれ? この伏線、どこかに消えた…」
「最後の人数があわないなあ」
「キャラ設定が途中で変わっているんだけど?」
コンテを描く前の打ち合わせである「コンテ打ち」で、監督とコンテマンはシナリオの問題点を洗い出します。
発見された問題点は、シナリオの微修正や、ときには新しいシーンを加えることによって、その場で対応方法を決めます。しかし実際にコンテを描いてみると、また別の問題が見つかることも。
昔、家を改築したときに、建築士が計算したはずなのに、工事を終えてみると増築部分から雨漏りがしたり、床が傾いたことがありました。アニメも同じで、いくらコンテ打ちでシナリオの穴を補修しても、何かが漏れることがあるのです。
これを現場でなんとかして埋めるのも、コンテマンの仕事。夜中の水漏れ修理です。コンテマンはそっとため息をつきつつ、深夜に黙々とコンテと格闘しています。(数井浩子)