「会社のブランド力向上」につなげることができるか
身元を明かしたネットでの情報発信に否定的な会社は、それが会社にとって必要性に乏しく、リスクが高いだけと考えているのだろう。しかし、時間外の活動まで会社が制限することへの批判もあり、フリーランスから「顔が見えないサラリーマン」と揶揄されることもある。
一方、魅力的な社員が情報発信する姿は、勤務する会社のイメージを高めている。
外資系企業の中には「実名による情報発信」を奨励しているところもある。IBMのソーシャル・コンピューティングのガイドラインには「身元を明らかにした上で、一人称で語りましょう。自分自身の意見で、その個性を前面に打ち出し、思っていることを語りましょう」と書かれている。
なお、条件として「このサイトの掲載内容は私自身の見解であり、必ずしもIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません」という免責文を入れることが必要だが、個性を出した情報発信が、ひいては会社のためになると考えているに違いない。
「電通人語」も、企業のコントロール化に置きながら社員が情報発信できる環境を整えることで、企業のブランド力向上につながることを期待していると思われる。自由な意見をどこまで許容できるかは未知数だが、社員が実名で情報発信がしにくいネットの現状に、新しい世界を切り開いてくれることを期待したい。(岡 徳之)