「神戸の結婚式」と「バンコクの飲み会」が同じ時代
また、海外アジアで働く人は「チャンスを求めて住むところや働く場所を変える」レベルで物事を考える人が多く、大阪から東京に転職するのと同じ感覚です。それを可能にする語学力や異文化で生活するバイタリティは必要ですが、「国を捨てる」という感覚とはまるで無縁です。
現実問題、いまの日本には、若い人や起業家にとってチャンスが少ない国になっています。そんな状況下で、
「いまの自分の実力だったら、海外で働いた方がチャンスが多い」
と判断して、海外に進出しているわけです。
「日本を捨てる」的な記事の中には、「現地に骨を埋める」「今生の別れ」といった言葉も散見されます。まるで13歳のアントニオ猪木少年が、昭和30年代に何か月もかけて船に乗ってブラジルに移民した時の話のようです。
しかし海外で働いている人の多くは、出張や休暇で年に何回も帰国しています。東南アジアへの飛行機は数時間刻みに就航しており、東京から国内の地方に行くよりも、シンガポールに行った方が時間やお金が少なくてすむ場合もあります。
私の場合、「神戸の友達の結婚式に出席する」のと「バンコクで日本人が大勢集まる飲み会に参加する」感覚は、あまり変わりません。東京~大阪間の新幹線の正規料金と、成田~バンコクのLCCの料金の差は片道1万円程度だからです。