アニメ制作「恐怖の報酬」―ポストプロダクションには危険がいっぱい

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「拡散タイプ」と「収束タイプ」は机が違う

   しかし、そんな修羅場も毎週のこととなれば、いちいち動じてもいられません。ポスプロのオペレーターはいつも冷静。締め切り当日でも、撮影ルームには意外とリラックスした雰囲気が漂っています。

   太極拳を習っていたときに、技を出すときに一瞬身体を緩めると攻撃力が増すと言われましたが、集中する直前に脱力することは仕事でも大事なのだと思います。

   さらに意外なことに、ポスプロの机はとてもキレイで、戦闘機のコクピットのように整然としています。以前、デザイナーやアニメーターの机の上は「素材や道具が散らばっていてカオス」と書いたことがありますが、その対極といっていいでしょう。

   ポスプロは「タイムサスペンス」の連続。あちこちに時限爆弾が仕掛けられている現場で、なんとか納品が間に合っているのは、冷静沈着な「爆弾処理班」がいるからこそ。とはいえ、たまには時限爆弾のない現場で仕事したいものです…。(数井浩子)

数井浩子(かずい・ひろこ)
アニメーター、演出家。『忍たま乱太郎』『ポケットモンスター』『らんま1/2』『ケロロ軍曹』をはじめ200作品以上のアニメの作画・演出・脚本などに携わる。『ふしぎ星の☆ふたご姫』ではキャラクターデザインを担当した。仕事のかたわら、東京大学大学院教育学研究科博士後期課程に在籍。専門は認知心理学
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