「みんなやっている」と正当化する状況を根絶すべき
さらに12月25日、山口県警の警部補C(43歳)も捜査費横領容疑で書類送検され、懲戒免職処分を受けている。情報提供者への謝礼の支払いを意図的に遅らせたり、領収書を偽造したりするなどして、4回にわたり14万円を着服。別の捜査員が監察官室に指摘して発覚した。
Cは着服金をタバコ代や食費に充てたとのことで、「小遣いが少なく生活が苦しかった」と供述している。見つかってすぐに弁済していることから考えて、3人ともカネに困って止むにやまれず犯行に及んだわけではなく、「安易な使い込み」をしてしまったようだ。
事件を受けて警察側は「捜査費に関する監査を強化するなどして、再発防止に努める」とコメントしているが、多数の捜査官の活動を細かくチェックするのは容易ではない。あわせて過去の事例から横領が生じる背景を分析し、対策を打つべきだろう。
まず、捜査費の使用のルールがあいまいで、「みんな多かれ少なかれやっているから許されるだろう」という状況があった可能性がある。時に危険を犯す捜査員の中には、「捜査費=追加手当」などと考えて、横領を正当化してしまう者もいたのかもしれない。
1回の金額が少額なことも罪の意識を鈍らせてしまうだろうし、「部下の苦労をねぎらいながら情報共有するのも捜査の一環」とか、「交際相手からも情報を求めたんだから」などと都合のいい言い訳はいくらでもひねり出してしまうのが人間だ。
再発防止には、あらためて捜査費を使用してよい用途と悪い用途を明確にし、「安易な使い込みで警察官のキャリアを台無しにしてしまった」ケースを組織内に周知して、横領を許さない姿勢を強く打ち出すことが必要である。(甘粕潔)