専門家は「不当解雇のリスク」を指摘
回答者から同情すら寄せられなかった質問者のケースだが、専門家から見るとどうなのか。労使紛争に詳しい社会保険労務士の野崎大輔氏は、社長の発言は「クロに近いグレー」と指摘する。
「これは『自己都合』にはならないでしょうね。『退職勧奨』どころか、実質的な『解雇通告』と受け取られるおそれもあります」
社長が「辞めてもらいたいと思っとる」というのは、質問者さんに対して「辞めてもらいたい」という意思表示をしていることになる。これは、解雇と同じ意味だというのだ。
「少なくとも、私が顧問先の経営者に『このような言い方は厳に慎んでください』とお話ししている内容に当たります。暴言、脅迫によるパワハラと受け取られる可能性もありますし、不当解雇と訴えられるリスクもあります」
ただし、「○○できないヤツ」の内容が「あいさつ」や「足し算」などのあまりにも基本的事項であった場合には、事情が異なる場合もあるという。
個別具体的なケースを確認する必要があるとはいえ、かなり危ない「社長の放言」と言えそうだ。Q&Aサイトの回答は、さまざまな知恵を授けてくれることも多いが、重要なことは専門家の意見もあわせて聞いておくべきだろう。