アニメで先に作るのは「ストーリー」か、それとも「キャラデザイン」か

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「キャラの絵」から見えてくるセリフがある

   以前『ふしぎ星の☆ふたご姫Gyu!』という作品でキャラクターデザインをしたときにも、そのようなことがありました。主人公ふたりは前作のままだったのですが、続編用のキャラクターやストーリーはオリジナルだったのです。

   学園モノだったので、新しく出てくるキャラクターの数は30体以上、ライターさんの負荷は思ったよりも高かったようで、シナリオがなかなか進まず膠着状態になりました。

   このときもデザインラフは並行して進めていたのですが、「サブキャラのいくつかを早めに描いて」とオーダーがありました。監督から渡されたメモは「泣き虫だけど芯の強い子」とか、「いたずら好きな無邪気な子」など、ごく簡単な覚え書のようなものでした。

   途方にくれながらも頭をひねり、このときは1週間くらいでサブキャラのデザインとバリエーションを提出して、監督に選んでもらいました。すると、はずみがついたようにライターのシナリオも進み出し、無事に放映初日を迎えることができました。

「キャラクターを見た途端、その子の性格とかセリフが見えてきたらしいよ」
と監督から聞いたときには、思わず心の中で「よし!」とガッツポーズが出ました。みんなで「これで落ちないで済んだね」とホッとしたものです。

   アニメの現場は協働作業ゆえのトラブルも少なくありませんが、いろいろなスタッフがお互いに影響しあってひとつの作品を創ることができるのがいいところです。一体感や達成感が味わえるのはコラボレーションならでは!と思いながら、今年も元旦からコンテと格闘していました。(数井浩子)

数井浩子(かずい・ひろこ)
アニメーター、演出家。『忍たま乱太郎』『ポケットモンスター』『らんま1/2』『ケロロ軍曹』をはじめ200作品以上のアニメの作画・演出・脚本などに携わる。『ふしぎ星の☆ふたご姫』ではキャラクターデザインを担当した。仕事のかたわら、東京大学大学院教育学研究科博士後期課程に在籍。専門は認知心理学
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