海外でビジネスを行うにあたって、様々なものが必要になります。
資金、ビザなどです。
新興国の中には、これらのハードルが比較的低い国がいくつかあります。その中で、今、多くの日本人起業家が目指している国が、カンボジアです。
開業資金が安くて済み、日本人の進出がまだ少ない
昨年12月にカンボジアを訪れたとき、観光ビザを空港で取得しました。顔写真2枚と20ドルをカウンターで支払うだけ。実は、この書類の「ビジネス」にチェックを入れて25ドル払うだけで、ビジネスビザが取得できるのです。差額、たったの5ドル!
ビジネスビザは30日間有効で、市内の入国管理事務所に行くと、1年280ドルで何度でも延長が可能です。
現在、カンボジアで起業する魅力は2つあります。まず、開業資金が非常に少なくてすむこと。首都プノンペンである店を開業した方と話をしたのですが、家賃が月4万円、改装費用は総額で30万円だったそうです。
東京でこの店を作ったら、数百万円では納まらないでしょう。値上がりしているとはいえプノンペンの家賃はまだまだ安いし、人件費も現地人スタッフを月給1万円以下で雇えます。日本と比べて、金銭的には圧倒的に低リスクで起業することができるのです。
もう一つが、まだ日本人の進出が少ないこと。例えば、プノンペンでは現在、日本人経営のラーメン専門店はありません。麺文化があり現地人に受け入れられる可能性も高く、なにより現地在住の1000人を超える日本人に切望されています。いま開業すれば、いきなり「カンボジア初の日式ラーメン店」になれます。
カンボジアは、まさに経済成長が始まったばかり。飛行機でいえばテイクオフの瞬間、車輪が地面から離れた直後の状態です。
中国、韓国の後塵を拝する「賢い日本人たち」
カンボジアは中国、韓国企業の進出が著しく、日本企業は負けていますが、12月にイオンがカンボジア最大のショッピングモールの建設を始めました。私がお会いした日本人起業家の方々も、2012年に開業した方が大半。レースは始まったばかりです。
金銭的リスクの低さと、チャンスの大きさが同居するカンボジア。私には非常に魅力的な国に見えました。もちろん、実際に起業してみると、思いもよらないリスクがあるでしょうし、競争に勝ち抜くのは容易とも言い切れません。
誰かに雇ってもらおうとフラフラやってきたって、仕事に活かせるスキルがなければ、現地の低賃金労働者と同じ扱いしか受けられません。英語ができなければ当然商売は始められませんし、現地語も学んでいかなくてはなりません。各種法律や治安に関する情報を知り、対応することも必要です。
ただ、国際的に見て「異様に賢い日本人たち」が、そのスピードの遅さで他国の後塵を拝しているのも事実です。日本企業が慎重に視察を繰り返している間に、中国、韓国企業が次々と新しいモノを作り上げています。
カンボジアのこの好景気がいつまで続くか分かりませんし、不透明要素もあります。その代わり、先行者利益を取るチャンスもあります。野心のある人にとっては魅力的な場所だといえます。
おそらく世界には、カンボジア同様に魅力的な国や都市があることでしょう。「希望」は、それを見出そうとする人には、世界中にまだまだ残されています。恵まれた日本人のステイタスを生かせるうちに、挑戦してみてはいかがでしょうか。(森山たつを)
※本文において「ビザ」の名称を「ビジネスビザ」に修正しました。現地に「就職」する場合は、この「ビジネスビザ」に加えて「労働許可証」が必要になります。また、現地の正式な手続きではない箇所について記載を削除しました。(2013.1.8 00:50)