採用面接で「華やかな経歴マジック」に惑わされない方法

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   前回は、事業意欲の高い経営者が「華麗なるプロフィール」に惑わされ、使えない人を雇って失敗しやすいことについて説明しました。これを避けるのは容易ではありませんが、最も有効なのは「周囲で働いていた人の評判を聞くこと」です。

   信頼できる人の紹介によるコネ採用には、この手のリスクを回避する意味があります。もしも、その人の評判を聞ける人がいない場合には、本人との面談を通じて正体を探る方法がいくつかあります。「経歴マジック」に惑わされないよう、頭に入れておくといいでしょう。

チームの一員として「何をやったのか」必ず確認すべし

自慢が多すぎる人は要注意。「他者の視点」から自分を客観視できているか
自慢が多すぎる人は要注意。「他者の視点」から自分を客観視できているか

   まず、本人の「自己アピール」のうち、事実とされるものを確認するまで鵜呑みにせず、過剰評価しないことです。私は以前、こんな経歴アピールをする女性に会ったことがあります。

「私は○○社(大手外資系コンサルティングファーム)にいたとき、リクルートの事業開発のお手伝いをしたことがあります」

   そのプロジェクトには、私もリクルート側で関わっていたので、「もしそうならば、どこかでお会いしているはずだ」と記憶をたどりました。さて、どこにいたのだろうか。

「あっ、思い出した! でも……、えっ?」

   あるプロジェクトをそのファームに発注したとき、立ち上げのあいさつとして10人ほどが来社したのですが、彼女はそのとき部屋の隅っこで会議のメモを取っていた女性だったのです。

   要するに、事務方の議事録係。それも彼女はその会社の社員ではなく、学生インターンシップとして勤務していたのでした。とても「事業開発のお手伝い」と胸を張れる役回りではありませんが、彼女はそれを堂々と言うのです。

   彼女は自分の姿をよく見せる工夫をしているにすぎず、ウソをついたつもりはないのかもしれません。ただ、ここで採用してしまえば「完全にアテが外れた」としか言いようのない事態になります。

   これを避けるには、華やかなプロジェクトに関わった人ほど、「どういうチーム編成のどこにいたのか」「自分は具体的に何をやったのか」などを必ず確認してから評価すべきです。それが分からないうちは「経歴マジック」に惑わされてはいけません。

「他者の視点」で語らせると地が出てくる

   もうひとつの方法は、「あなたは周囲から、どういう人と思われているか」と尋ねることです。人は自分のことを説明するとき、自分に都合のいい部分だけ話したがるので、本当の姿が見えてきません。

   しかし、これを「他者の視点」で語らせると、つい地が出てしまうのです。例えば新卒学生と面接するとき、まず確認すべきは学生生活の中身ですが、本人が「サークル活動に頑張った」と答えても本当のことかどうか確かめようがありません。そういうときは、

「学生時代のあなたは、周囲から見るとどういう存在だったんですか?」
「もし私が学生時代のご友人に会いに行って、あなたのことを聞いたらどのように言うと思いますか?」

と尋ねてみると、相手は自分と周囲との「関係」や自分が果たした「役割」について説明しようとするはずです。こうすることで、作りこんだ自己アピールを崩すことができます。

   中途採用の場合でも同じです。以前面接した女性の答えを聞いて、私には雑誌編集者として活躍する彼女の仕事ぶりがイメージできました。

「そう言えば上司から、『君はいつも走り回ったり話しまくったりしていて、休みなく動く回遊魚みたいだよね』と言われていました(笑)」

   もちろん、ここで咄嗟に「あることないこと」を言える人もいるでしょう。その人はよほどのウソツキなので、諦めるしかありません。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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