社員を採用するとき、社長は自分の「バイアス」に自覚的になるべきだ

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   会社の経営者、特に中小企業のオーナー社長は、自社の商品やサービスについて考えることが大好きです。あれもやりたい、これもできると考えて、売り上げアップを実現する前に人を採用してしまいがちです。

「来年あたりは忙しくなりそうだから」
「ちょっと迷うけど、次にいい人が来ないかもしれないから」

と、とりあえず人を採用してしまう。特に学歴や、過去の経歴や肩書きが華やかな人に弱く、過剰な期待をしてしまいがちです。

   買い物だったら、「これは違う」と思えばクーリングオフができますが、人材採用には通用しません。思っていたのと違うから、辞めてと言えないのが現状です。その人の生活もかかっているし、プライドもある。経営者は簡単に人を採用する前に、そのことの重さを知っておかなければなりません。

頻発する後悔「なんでこんな人を採ったのか」

「採った方が悪いんじゃないですか~」と言われて腹を立てても、時すでに遅し
「採った方が悪いんじゃないですか~」と言われて腹を立てても、時すでに遅し

   それでも、「なんでこんな人を採ってしまったのだろう」とため息まじりに思うこともあるでしょう。世の経営者なら、誰もが必ず経験することです。面接ではハキハキ元気がよかった20代後半の男性、いざ採用してみると職場で文句ばかり。

「そこまでやれません」「そんなことできません」
「そんなこと、やったことありません」
「ひとりじゃできないので、教えてください」

   頼んだこちらが悪いとばかりに、やれない&できないの倍返し。仕事ひとつ頼むのにも、とんだひと苦労です。あのときの「なんでもやります。やらせてください!」というセリフはなんだったのか…。

   一流大学を出て、新卒で一流企業に入った40代前半の男性。前職では高い業績を上げ、メンバーとの関係も良好とアピール。採用してみたら会社で本を読んでいるばかりで、「自分は勉強するために会社に入った」というのが、その理由だそうです。

   ある企業の人事部で採用担当をしている友人も、「してやられた」の繰り返しだと嘆きます。大手企業にいた50代のTさんを財務部長として採用したところ、フタを開けてみてびっくり。彼ができることと言えば、会社の伝票を切って、部下と飲みに行くことだけ。

   実はTさんは長年在籍していた営業部から、財務部に異動しただけの人で、現場の仕事を知らなかったのです。大手では若い優秀な部下たちが、しっかり数字をつくってきます。Bさんは機械的にハンコを押していれば用が済んでいた。しかし、中小ではそうはいきません。数字の間違いを正せないBさんはミスを連発し、会計監査でトラブルを起こしてしまいました。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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