スマホでアパレル販売が活性化? ねらいは高単価の「コーデ買い」

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「誰か面白いアプリをつくれるやつを知らないか?」

   先日、こんな唐突な問い合わせを受けました。聞けば、問い合わせた知り合いの、そのまた知り合いがネット通販をやることになり、そのプロモーションでスマートフォン用のアプリをつくろうということになったのだとか。

   しかし、なぜまたアプリをつくろうと?

「実は、依頼者は最近までリアル店舗へ洋服を卸していたんだよ。だけど、納入先からリアルよりネットの方が売れるってさんざん言われて、それで自分たちでやってみることにしたんだって」

ネット通販ならムダな時間も交通費もかからない

   デイリーに使う下着類や室内着ではなく、ちゃんとした洋服でもネットの売れ行きが良い。そんなことがあるのかと、実際に知り合いに依頼した人に会ってみました。商社でアパレルを15年ほど担当していたというAさんです。

   「若い人にスマートフォンが普及してきた、ここ2~3年で顕著なんですよ」と前置きしてAさんが言うには…。

「リアル店舗には、服の素材感やサイズ、実際の色を確かめに来るだけで、実際の購入はネットで、という人が本当に増えているんです」

   理由はいくつか考えられるそうです。たとえば、ネットで紹介されていたコーディネートをそのまま丸ごと買う「コーデ買い」をする人が増えていること。

「彼氏や彼女と一緒にネットを見て、これいいね、となって店に行ったらサイズがなかった。そういうのが嫌みたいなんです。ネット通販だったら、その場でサイズの在庫も調べられるから、ムダな時間や交通費がかからない。それに、ネットでコーデ買いをしたら、たいてい一定額以上になりますから、送料もタダになることがほとんど」

   雑誌だと、複数のブランドの服をまぜてコーディネートしていることが多いですが、ネットの場合、モールであっても同一のブランドでコーディネートを紹介しており、コーデ買いをすることで一定額以上での送料無料というメリットを受けやすくなるのだそう。

「それに若い人は現金ではなく、意外とクレジットカードで買い物をする。そうなると、サインも要らず、ワンクリックで買い物ができて、ポイントも貯まり、送料もかからないネット通販の方が、何かと良いらしいんですよね」

   ふーん、知らないうちに、世の中はそんなふうになっていたんですねぇ。懐かしき80年代のDCブームをくぐり抜けた当方など、とりあえず店に行って面白いものを見つけるというのが普通かと思い込んでいました。

井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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