「父が骨折」「祖母が危篤」… 急に休む社員の言い訳が信じられない

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   米大手求職サイトのキャリアビルダーが実施する「会社をお休みする理由」アンケートには、「子犬に風邪をうつされた」「にわとりが母を襲っているので行けない」「ボーリングの玉から指が抜けなくなった」といったおかしな言い訳が寄せられるそうだ。

   さすがアメリカと思いきや、日本でも同じようなことが起きているという。ある会社では、休みがちな社員の言い訳が、どうも怪しくて信用できないと、営業部長が人事に相談に来た。

「たぶんウソ。会社をなめているんじゃないか」

――広告会社の人事です。営業部長が、部下の20代A君について相談にやってきました。有給休暇を当日申請してくることが多く、何らかのペナルティを科すことができないかというのです。

   付与された日数以内なので、明らかな問題行為とはいえません。ただし、申請してくるときの理由が、どうにも信用できないものばかり。

「父親が転んで骨折したので、病院に連れて行くことになりました」
「トイレの水が止まらなくなりました」
「今日はマンションの湯沸かし器点検の立ち会いで」
「義理の兄がヤクザのトラブルに巻き込まれまして」
「甥っ子が急病で、姉がどうしても病院に連れて行ってくれと言うので」
「祖母が危篤です」
「隣の家からの騒音クレームでトラブルになり、今警察が来ているんです」
「彼女を病院に連れて行かなといけないので」

   あまりに頻繁なので、部長は「たぶんウソだろう。会社をなめているんじゃないか」と、おかんむりです。同僚たちからも「そんなに不幸が続くなら、お祓いでもしてもらったどうなんだ」なんて皮肉まで出ているそうです。

   部長は、こんな好き勝手なことを許していたら、他の社員たちに示しがつかないから、「人事として言い訳が本当かどうか調査し、ウソであったら懲戒処分を下して欲しい」というのですが。そういうことは現実に可能なのでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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