臨床心理士・尾崎健一の視点
定年廃止にもメリットあり。役職定年などでデメリット解消
定年廃止をすべきかどうかは、各社の事情によって異なるので一概には言えません。御社にとってのメリットと問題点を整理し、天秤にかけて決定しましょう。定年を廃止するメリットとしては、「どうせ数年で辞めるし」「いまから頑張ってもしようがない」といった定年間近の社員の生産性低下、モチベーションの低下が軽減できます。実際に定年を廃止した会社では、高齢者が若手の模範的存在となり、技能指導を通じて高齢者自身の意欲が向上し、会社全体が活性化した例もあります。
ただし、いつまでも会社にいられることになると、下の社員が働きにくくなるのも事実です。役職定年を設けたり、体力低下や仕事内容に応じて職務給を下げたり、仕事に支障が出ているシニア社員に退職勧奨をすることも考える必要が出てくるでしょう。また、今回の問題の発端である若手社員の定着率の悪さについては、原因を分析し、改善すべきは改善した方がいいでしょう(定着率が高いほどいい会社、とも言えないのですが)。