「上司とケンカして辞めた」と自慢げに語る人の「勘違い」

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集団の中で「とんがってる俺ってカッコいい」

   来月号の特集記事はどうしようかと話をすれば、「いや、記事をどうこうではなく、まずベースを見直す必要がある。ネットとの融合がないこと自体が間違っています」。

   なぜか必ず「そもそもコンセプトワールドが」「切り口が」「時代が」と、現実の問題点や論点とは違うレイヤーから切り込んでくる。言うことは正しいけれど、言う時と場所がまったく正しくないのです。

   わかった、その話は興味があるから後でゆっくり聞こう、と言って会議を進めると、今度は部屋を飛び出し、役員に「うちの部長は大局的な話ができない。数字ばかり追いかけていて現場の各論しか言わない!」と吠え出すしまつ。もう、大変も大変です。

   このタイプは、集団の中で自分が「とんがってる人」でありたいわけです。乱暴な言い方をすれば、上司が少々持て余すような「優秀すぎる人」でいたいのです。

「俺って優秀なうえにひとこと多いから、上司は大変だよね。俺、嫌われているかもしれない。でもね、俺の言うことは半年、1年後にはきっとみんなわかると思うよ。ま、うちの上司なんかは“サラリーマン”だから分からないと思うけどね」

   本人はそう言いながら、こんな俺ってカッコいいと思っています。しかし、勘違いも甚だしい。こちらからしたら、「君こそ分かってないだろう。君が優秀じゃないから大変なんだよ!」と言いたくもなります。

   こんな目に遭わないためにも、「上司とのケンカを自慢する人」は原則的に採らない、引き受けないことが大前提です。人の性格を変えることはできません。一度採ってしまったら、性格を理由に辞めさせることなど簡単にはできないのですから。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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