本当に過激なのは誰か
だが、個人的には維新やみんなの党なんて全然過激でも何でもなくて、むしろ可愛い方だと考えている。筆者がマニフェストを読んで手が震えたのは、実は社民、共産の両党だ。
両党とも正社員の保護を強め、有期雇用や派遣業の規制を強化、リストラの禁止や最低賃金の大幅引き上げといった方針を前面に押し出している。それらが何をもたらすか、あらためて言うまでもないだろう。
日本はILOやOECDからも、正社員の保護を弱め、非正規雇用労働者との格差を是正するよう勧告を受けている。両党の雇用政策はそれらに完全逆行し、ごく一部の終身雇用正社員と、その輪の中に入れない人間との間の格差をいっそう拡大させることになるはずだ。
幸いにして賢明な有権者のおかげで両党が政権の座に就く可能性はゼロだろうが、実現すればもっとも多くの涙が流されるだろうという意味で、筆者はこの両党こそもっとも過激な政党だと考えている(ただし、実行責任を問われない万年野党のPR策としては一定の効果はあるかもしれない)。(城繁幸)